浅井順

2019年10月24日|カテゴリー「浅井順
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■障害福祉サービス事業における物件探しについて

 

これから開業をご検討されている方においては、最初に出てくる問題として、物件探しがございます。障害福祉サービス事業を行うには、その要件を満たした物件であることが必要で、この要件を満たす物件は思っている以上に少ないというのが現状です。

また、良いと思った物件であっても、障害者総合支援法上では要件を満たせていたとしても、他の法律、例えば建築基準法、都市計画、消防法、耐震基準、バリアフリー法等で要件を満たせていないケースもよくあり、その場合はその物件を借りても指定をとることができない可能性が高くなります。 

 

また、物件をおさえることができたとしても開業までに非常に時間がかかるため、想定した以上に家賃がかかるケースも多くございます。

 

そのため、開業するにあたっては、物件選びが非常に重要となるのです。

 

契約を結ぶ前に必ず確認するポイントをお伝えして参ります。

 

 

1.場所についての確認(都市計画法等)

原則、市街化調整区域では事業ができません。そのため、最初の確認ポイントとして、事業を行う予定場所の都市計画課などで用途地域の確認をしましょう。

また、事業の内容によっては送迎などを行う場合、国道等に出るまでの道路の広さなども確認が必要となります。

 

2.階数の確認

事業内容によっては1階や2階などの低層階であることが求められます。
高層階でもしもの転落などを避けるためです。

 

3.周りの環境など

どういった利用者を想定しているかによりますが、周りに病院や公共施設、公園などがある場合と繁華街などでは環境が大きく異なります。例えば就労系であれば電車に乗って事業所に来ることも訓練の一環になりますので、その場合には駅近くなどがよいでしょう。
 
4.消防法

事業所の規模や利用者数などにもよりますが、消防の防火対象物使用開始届や防火管理責任者選任届、適合通知書などの提出が必要になります。
設備要件を満たせていることを現地確認した後、適合通知などが発行されます。

物件によってはスプリンクラーや自火報、消化器、誘導灯、避難器具など、消防設備の設置が高額になる、またはそもそも賃貸の場合には設置について承諾がおりない場合もあります。

 

5.住民への説明

グループホーム等では、近隣住民への説明が必要です。
またグループホーム以外であっても、まだまだ障害者の方への偏見などあり、開業後にトラブルになるケースもあるので、説明会又は近隣へのあいさつなどは行ったほうが良いです。

 

6.設備基準

事業内容によって、必要な設備基準があります。その要件を満たさないと指定がおりません。
例えば就労支援事業であれば、訓練室として、一人当たり3平米が必要です。
他にも事務室、相談室、多目的室等が必要です。

 

7.建築基準法

建築基準法に改正があり、使用面積が200平米未満の物件であれば、用途変更は不要です。用途変更が必要な場合には、工事など必要な場合もあり、数か月単位の期間とお金もかかってきます。
そして用途変更が必要な建物については、検査済証又は少なくとも建築確認申請をうけている建物であることも求められることが多いです。

 

8.家賃

家賃、敷金、礼金が分かったら、収支予算に落とし込んで、採算が立つのか必ず確認します。固定費についてのどんぶり勘定は絶対にダメです。

 


物件については、障害福祉サービス事業に詳しい建設会社さんに相談するのが良いです。
また工事が必要な場合にも、工事金額や消防の設置など、会社によって大きく金額が異なることも多いので、必ず相見積を取るようにしましょう。
物件探しでご不安などございましたら、ご紹介等もできますので、是非お気軽に御相談下さい。


最後までご覧いただき、ありがとうございました。