浅井順

2024年6月7日|カテゴリー「浅井順
22460655

■障がい福祉サービス事業における虐待防止体制の整備について

こんにちは。行政書士の浅井です。
今回は、障がい福祉サービス事業における虐待防止体制の整備についてお伝えします。

東京都では、虐待防止体制を整備するにあたり、特に留意していただきたい事項をまとめたものが公表されましたので、その内容お伝えします。

1.利用者の人権擁護・虐待防止のための体制について 
(1)運営規程への定めと全職種の職員への周知
(2)虐待防止委員会(年1回以上)、虐待防止の担当者を設置する等の体制整備 
虐待防止委員会の役割(運営基準等解釈通知より) 
・虐待防止のための計画づくり(虐待防止の研修、労働環境・条件を確認・改善するための実 施計画づくり、指針の作成) 
・虐待防止のチェックとモニタリング(虐待が起こりやすい職場環境の確認等) 
・虐待発生後の検証と再発防止策の検討(虐待やその疑いが生じた場合、事案検証の上、再発 防止策を検討、実行)
(3)倫理綱領・行動指針等の制定、虐待防止のための指針・虐待防止マニュアルの作成、 及び虐待防止啓発掲示物や相談・通報・届出先掲示物等の周知徹底 など 
虐待防止のための指針に規定する項目例(運営基準等解釈通知より) 
・事業所における虐待防止に関する基本的な考え方 
・虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項 
・虐待防止のための職員研修に関する基本方針 
・施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針 
・虐待発生時の対応に関する基本方針 
・利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針 
・その他虐待防止の適正化の推進のために必要な基本方針

2.人権意識、知識や技術向上のための研修の実施について 
(1)全職種の職員を対象にした虐待防止や人権意識を高めるための研修 
(2)障害特性を理解し適切に支援ができるような知識と技術を獲得するための研修 
(3)事例検討 
※虐待防止のための研修は、年1回以上(新規採用時には必ず)実施すること 
※研修対象者については、常勤・非常勤に関わらず、また、福祉職の職員に限らず事務 員・調理員・運転手等、全職種の職員について、受講させること 
※職場内研修のみならず、職場外研修の充実化も図ること 

3.虐待を防止するための取組について 
(1)管理者による日常的な支援場面の把握、風通しの良い職場づくり 
(2)非常勤職員を含めた全職種の職員に対する虐待防止マニュアルの周知徹底 
(3)全職種の職員に対する、定期的な虐待防止チェックリストの実施とその活用 

4.通報義務について 
障害者虐待(疑いを含む。)については、障害者虐待防止法に基づき区市町村(実施機 関)へ通報する義務がありますので、必ず区市町村に通報した上で行政と連携して対応してください。 
障害者虐待防止法では、施設や事業所の中で障害者虐待の疑いのある事案が起きたときには「通報義務」があり「通報しない」選択肢はありません。
区市町村虐待防止センター に通報し、区市町村、都道府県の事実確認をうけることが必要です。 
※ 障害児入所施設に入所する児童への虐待については、児童福祉法に基づき、児童相談 所もしくは区市町村子供家庭支援センターに通告します。 
※ 児者一体で運営されている施設においては、児童福祉法に基づく給付を受けている場 合は児童福祉法、障害者総合支援法に基づく給付を受けている場合は障害者虐待防止法 の対象となります。 
※ また、虐待等を発見した職員が、直接区市町村等へ通報する場合、通報した職員は通 報したことを理由に解雇その他不利益な取り扱いを受けないこととされています。各施 設・事業所におかれましては、通報先や通報者の保護について日頃から職員に周知し、 障害者虐待防止法に対する理解を深めてください。 
※ 各施設・事業所におかれましては、区市町村へ通報後、事故報告書を作成いただき、 事故報告フォームより、各担当宛に提出してください。 

5.身体拘束の禁止について 
障害者総合支援法に基づく運営基準では、サービス提供にあたり、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束等を行ってはならないとされています。やむを得ず身体拘束等を行うときは所定の手続き(・組織による決定と個別支援計画への記載、・本人・家族への十分な説明、・必要な事項の記録)を経るようご留意ください。
なお、身体拘束の要件に該当しなくなった場合においては、速やかに解除することにつ いても御留意願います。 

6 運営基準の改正による取組の強化について 
虐待防止の更なる推進と身体拘束の適正化の推進のため以下のとおり施設・事業所の取 組が令和4年度より義務化されるとともに、令和6年度報酬改定において、新たな減算規 定の創設及び減算額の増額などの制度改正がありましたので、以上の取組とあわせ、運営 基準・解釈通知等も必ず御確認ください。 
(1)虐待防止について 
・ 虐待防止委員会の定期的な開催と委員会での検討結果の従業者への周知徹底 
・ 従業者への定期的な研修の実施 
・ 虐待の防止等のための担当者の設置 
※ 虐待防止に係る上記運営基準を満たしていない場合は、基本報酬が減算となります。 

(2)身体拘束の適正化について 
・ 身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに 緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録すること。 
・ 身体拘束等の適正化のための対策を検討するための委員会の定期的な開催と委員会 での検討結果の従業者への周知徹底 
・ 身体拘束等の適正化のための指針の整備
・ 従業者への定期的な研修の実施 
※ 身体拘束の適正化に係る上記運営基準を満たしていない場合は、基本報酬が減算となります。 

7 参考資料 以下の厚生労働省ホームページのリンク先に掲載されている、障害者の虐待防止に係る 通知及び手引き等についてもご確認願います。 
厚生労働省ホームページリンク先 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/gyakutaiboushi/index.html

上記をふまえて、必ず委員会や研修などを段取りして定期的に行うようにしましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日が皆様にとって素晴らしい日となりますように。