こんにちは。行政書士の浅井です。
今回は児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業における新加算「家族支援」についてお伝えします。
1.報酬改定の内容
令和6年度報酬改定では、家庭連携加算について評価の見直しが実施されると同時に、事業所内相談支援加算と統合され、「家族支援加算」となることが示されました。
■家族支援加算(1)(月4回を限度)
単位数:
居宅を訪問(所要時間1時間以上) 300単位/回
居宅を訪問(所要時間1時間未満) 200単位/回
事業所等で対面 100単位/回
オンライン 80単位/回
要件:入所児童の家族(きょうだいを含む)に対して個別に相談援助等を行った場合
■家族支援加算(2)(月4回を限度)
単位数
事業所等で対面 80単位/回
オンライン 60単位/回
要件:入所児童の家族(きょうだいを含む)に対してグループでの相談援助等を行った場合
※多機能型事業所において、同一の児に複数のサービスによる支援を行う場合、家族支援加算は、各サービスを合計して(1)及び(2)それぞれ月4回を超えて算定することはできないこととする。
このように訪問での支援が見直される他、家族のニーズや状況に応じた支援の提供を促進する観点や、オンラインによる相談援助を推進する観点が盛り込まれるだけでなく、きょうだいへの支援の促進を目的に、きょうだいも相談援助等の対象であることが明確化されました。
2.家族支援とは
このように、家族支援に関する変更点が多く示されている次期報酬改定ですが、そもそも家族支援とはいったいどのようなものを指しているのでしょうか。
まず家族支援は、児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドライン基本的役割に定められています。
特に放課後等デイサービスでは具体的に以下3つのことが明記されており、家族支援をすることでお子さまの発達に好ましい影響を与えることが期待されています。
(1)子育ての悩み等に対する相談を行うこと
(2)家庭内での養育等についてペアレント・トレーニング等活用しながら子どもの育ちを支える力をつけられるよう支援すること
(3)保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うこと
家族支援の重要性
先述の通り、家族支援はガイドラインにも示されているという観点でも非常に重要であることがわかりますが、その重要性は報酬改定にかかわる議論の中でも言及されています。
・保護者はこどもの成長・発達の過程で様々な葛藤に直面するため、ライフステージを通じて、サポートすることも重要であること
・乳幼児期は親が障害のある子を育てる初期の不安な時期であり、孤立感を感じやすい時期でもあるため、こどもと家族を早期に漏れなくトータルに支援していくことが重要であること
・思春期になると、こども本人が意見を表明し、親子の葛藤が顕著になることも多いため、年代に応じた親子の関係性を踏まえた家族支援が重要であること
(厚生労働省:「児童発達支援・放課後等デイサービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」P.80)
このように保護者は子どものライフステージごとに様々な悩みや不安を感じることがあります。事業所としては、こども本人のみならず、保護者やきょうだいを含めた、家族全体を支援していく視点で、家族支援を推進していくことが重要です。
まとめ
■家族支援の現状
・家族支援を行った場合の現状の評価は「家庭連携加算」と「事業所内相談支援加算」がある
■令和6年度報酬改定の改定内容
従来の家庭連携加算と事業所内相談支援加算が統合され、個別とグループでの支援に整理して評価を行われる
今回の報酬改定ではより訪問支援を促進する方向性や、支援場面を通じた学習機会提供の評価等の方向性が盛り込まれました。報酬改定の方向性について法人様で確認し、要件を満たして算定ができるよう準備するようにしましょう。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日が皆様にとって素晴らしい日となりますように。