■虐待防止に関する事業所での自己チェックについて
こんにちは。行政書士の浅井です。
本日は、障害福祉サービス事業所における虐待防止に向けて、職員が虐待に繋がる言動や行為を自覚し、日頃の支援を振り返るための方法としての自己チェックリストについてお伝えします。
正当な理由なく身体的拘束を行うことは虐待に当たりますが、虐待に該当しないことの要件としては、以下の「緊急やむを得ない場合」として、次の3要件を満たしていること、かつ3つの手続きがなされていることが必要となります。
〇緊急やむを得ない場合(3要件)
1.切迫性 利用者本人または他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い場合
2.非代替性 身体的拘束以外に代替する手段がないこと
3.一時性 身体拘束は一時的なものであること
〇必要とされる3つの手続き
1.身体的拘束の必要性について、組織による決定と個別支援計画への記載
2.本人や家族への十分な説明と同意
3.必要な事項の記録
虐待防止に向けて、事業所内で定期的に以下の内容について該当することがないかの確認を行うようにしましょう。
◎自己チェックリスト 【職員用】
利用者への体罰など
(1)利用者に対して殴る、ける、その他けがをさせるような行為を行ったことがある。
(2)利用者に対して、身体的拘束や長時間正座・直立等の肉体的苦痛を与えたことがある。
(3)利用者に対して、食事を抜くなどの人間の基本的欲求に関わる罰を与えたことがある。
(4)利用者に対して、自分の意思で開けることのできない居室等に隔離したことがある。
(5)利用者に対する他の職員の体罰を容認したことがある。
利用者への差別
(1)利用者を子ども扱いするなど、その人の年齢にふさわしくない接し方をしたことがある。
(2)利用者の障がいの程度、状態、能力、性、年齢等で差別したことがある。
(3)障がいにより克服困難なことを、利用者本人の責めに帰すような発言をしたことがある。
(4)利用者の言葉や歩き方等の真似をしたことがある。
(5)利用者の行為を嘲笑したり、興味本位で接したことがある。
利用者に対するプライバシーの侵害
(1)職務上知り得た利用者個人の情報を他に漏らしたことがある。
(2)利用者の同意を事前に得ることなく、郵便物等の開封、所持品を確認したことがある。
(3)利用者の了解を得ずに居室、寝室に入ったことがある。
(4)a(男性職員が)女性利用者の入浴、衣服の着脱、排泄、生理等の介助をしたことがある。
(4)b(女性職員が)男性利用者の入浴、衣服の着脱、排泄等の介助をしたことがある。
(5)利用者本人や家族の了解を得ずに、本人の写真や制作した作品を展示したことがある。
利用者の人格無視
(1)利用者を呼び捨てやあだ名、子どものような呼称で呼んだことがある。
(2)利用者に対して、威圧的な態度や命令口調で話したことがある。
(3)利用者の訴えに対して、無視や拒否をするような行為をしたことがある。
(4)利用者を長時間待たせたり、放置したりしたことがある。
(5)担当専門医の指示によらず職員自らの判断で薬物を使用したことがある。
(6)まだ十分にトイレで対応できる利用者にもオムツ対応したことがある。
利用者への強要制限
(1)利用者に対して、わいせつな発言や行為をしたことがある。
(2)利用者の作業諸活動に対して、いたずらにノルマを課したことがある。
(3)利用者に嫌悪感を抱かせるような作業・訓練などを強要したことがある。
(4)日用品等の購入を制限したことがある。
(5)無理やり食べ物や飲み物を口に入れたことがある。
(6)自由な帰省、面会、外出を一方的に制限したことがある。
◎自己チェックリスト 【管理者用】
規程、マニュアルやチェックリスト等の整備
(1)倫理網領、職員行動規範を定め、職員への周知ができている。
(2)虐待防止マニュアルやチェックリスト等について、職員に周知徹底すると共に活用している。
(3)緊急やむを得ない場合の身体的拘束等の手続き、方法を明確にし、利用者や家族に事前に説明を行い、同意を得ている。
(4)個別支援計画を作成し、適切な支援を実施している。
(5)利用者の家族から情報開示を求められた場合は、いつでも応じられるようにしている。
風通しの良い職場環境づくりと職員体制
(1)職員会議等で情報の共有と職員間の意思疎通が図られている。
(2)上司や職員間のコミュニケーションが図られている。
(3)適正な職員配置ができている。
職員への意識啓発と職場研修の実施
(1)職員への人権等の意識啓発が行われている。
(2)職場での人権研修等が開催されている。
(3)職員の自己研さんの場が設けられている。
利用者の家族との連携
(1)利用者の家族等と定期的に連絡調整が図られている。
(2)利用者の家族と支援目的が共有できている。
(3)職員として利用者の家族から信頼を得られている。
外部からのチェック
(1)虐待の防止や権利擁護について、外部専門家による職員の評価、チェックを受けている。
(2)施設事業所の監査において、虐待防止に関わるチェック等を実施している。
(3)地域ボランティアの受け入れを積極的に行っている。
(4)実習生の受け入れや職場見学を随時受けている。
苦情、虐待事案への対応等の体制整備
(1)虐待防止に関する責任者を定めている。
(2)虐待防止や権利擁護に関する委員会を施設内に設置している。
(3)職員の悩みを相談できる相談体制を整えている。
(4)施設内で虐待事案の発生時の対処方法、再発防止策等を具体的に文章化している。
以上となります。
長文になりましたが、最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。
今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。