就労継続支援事業における医療連携体制加算について

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■就労継続支援事業における医療連携体制加算について


こんにちは。行政書士の浅井です。

本日は、就労継続支援事業における医療連携体制加算についてお伝えいたします。


1.医療連携体制加算とは

連携した医療機関等から派遣された看護職員が利用者に対し看護を行った場合や、職員に指導を行った場合に算定できる加算

・Ⅰ~Ⅵの6つの類型にわかれています。

・利用者に対して看護などを行った場合に算定できる加算(Ⅰ~Ⅳ)、看護職員が事業所の職員に指導を行った場合に算定できる加算(Ⅴ)、看護職員により指導を受けた職員が看護などを行った場合に算定できる加算(Ⅵ)に分かれています。

・Ⅰ~Ⅳは「看護を行った時間」や「医療的ケアを必要とする利用者であるか」によって加算単位が変化する


2.加算要件

Ⅰ~Ⅲ

・医療機関等と連携を行う

・連携する医療機関等から看護職員(看護師又は准看護師等)が訪問される

・訪問した看護職員が利用者に対し看護を行う

・1回の訪問で看護を行う利用者が8人以下である

・(Ⅰの場合)看護を行った時間が1時間未満である。1日につき32単位。

・(Ⅱの場合)看護を行った時間が1時間以上2時間未満である。1日につき63単位。

・(Ⅲの場合)看護を行った時間が2時間以上である。1日につき125単位。


・医療機関等と連携を行う

・連携する医療機関から看護職員が訪問される

・訪問した看護職員が「医療的ケアを必要とする」利用者に対し看護を行う

・1回の訪問で看護を行う利用者が8人以下である

・加算額は看護を受けた利用者の人数に応じて以下のように変化します。

1人の場合:1日につき800単位

2人の場合:1日につき500単位

3人以上8人以下の場合:1日につき400単位


・医療機関等と連携を行う

・連携する医療機関から看護職員が訪問される

・訪問した看護職員が認定特定行為業務従事者に対し痰吸引等に係る指導を行う

・1日につき500単位


・看護職員から指導を受けた認定特定行為業務従事者が利用者に対し看護を行う

・看護を行った利用者がⅠ~Ⅳのいずれも算定していない

・1日につき100単位


○就労継続支援事業における医療連携体制加算

就労継続支援事業所においては軽度の方が多いと思いますので、上記加算の内、Ⅰ~Ⅲがお勧めです。


就労継続支援事業の医療連携体制加算は、主治医による指示書に基づき医療機関等に属する看護職員が訪問して、又は雇用している看護職員が支援や指導をすることにより算定できます。


○医療連携体制加算」の算定手順

1 主治医から指示書を発行してもらう(理由、内容、回数の記載が必要です)

2 訪問看護ステーションやクリニックと業務委託契約をする

3 利用者の個別支援計画を変更する + 個人情報提供の同意書をもらう

4 定期的に看護職員による医療支援の記録をもらって保管する

5 サービス提供記録やモニタリングで医療ケアの効果を検証する

医療連携体制加算」の活用ポイントは、利用者さんが毎日通所できて利用回数を増やすことに貢献する点にあります。


○医療連携体制加算(I~III)の記録の注意点

・日時と該当利用者と看護時間を記録する

・訪問看護の対象者が8人を超えないようにする

・個別支援計画に訪問看護による支援も記載する

・訪問看護会社と情報共有のミーティングの記録をとる

・サービス提供実績記録の該当日に支援の存否を記入する

・医師からの指示書を保管しておく


○Q&A


・医療連携体制加算の活用方法とは?要件や間違えやすい点も解説

「医療連携体制加算」(I~III)は、バイタルチェックだけで算定できますか?

答:算定できます。


・事業所で雇用した看護職員が行った場合に、「医療連携体制加算」(I~III) は算定きますか?

答:算定できます。


「医療連携体制加算」(I~III)の上限8人は、多機能型事業所の場合は合計人数ですか?

答:加算の対象となる、各事業の合計人数が、8人を超えてはいけません。


「医療連携体制加算」(I~III)は医者の指示書が必要でしょうか?

答:医者の指示書が必要です。


「医療連携体制加算」の算定の上限は決められているでしょうか?

答:決められていません。医者の指示書通りです。


認定特定行為業務従事者のはどのようにすればなれますか?

答:都道府県又は都道府県が認定した登録研修機関が実施する研修を終了し、都道府県から「認定特定行為業務従事者」として認定されることが必要です。


どの利用者に対して看護などを行っても加算されますか?

答:原則、日頃から利用者を診察している主治医から個別に受けるものとする必要があります


「医療的機関等との連携」とはどのような状態ですか。契約書を交わす必要がありますか?

答:文書による契約を締結する必要があります。


「医療的機関等との連携」とあるが「等」に該当するのは何があるか?

看護職員が配置されている同一法人内の施設や、医療保険や看護保険上の指定を受けた訪問看護事業所が想定されています。

なお、同一法人の施設から派遣された看護職員が指導などを行った場合、指導時間は派遣元の勤務時間に含めることはできません。雇用している看護職員についても指導時間は勤務時間に含めることはできません。


Ⅰ~Ⅲは看護の時間で加算単位が変わるが、作業時間はどのように判断しますか?

答:直接、看護を提供した時間です。

医療的ケアを必要とする利用者の場合は、それに加えて見守り時間も含みます。


Ⅰ~Ⅲで看護職員が複数人の利用者へ看護等を行った場合の作業時間の考え方を知りたい

答:看護職員の合計作業時間で算定します。

例えば、看護職員が2人の利用者へ利用者一人あたり30分ずつ看護等を行った場合は、看護職員の作業時間は1時間(30分×2名)として算定します。


Ⅰ~Ⅲで複数人の看護職員が複数人の利用者へ看護等を行った場合の作業時間の考え方を知りたい

答:看護職員一人当たりの合計作業時間で算定します。

例えば、3人の看護職員がそれぞれ2人の利用者へ利用者一人あたり30分ずつ看護等を行った場合は、看護職員一人当たりの作業時間である1時間(30分×2名)として算定します。3名の合計作業時間は3時間ですが、算定は一人当たりの作業時間である1時間で行います。


医療的ケアを必要とする利用者とはだれがどのように判断しますか?

答:事業所が判断します。

判断の際には医療的ケア判定スコア表に記載のいずれかの医療行為が必要かどうかを、利用者、家族、主治医からの聞き取りや事業所に配置する看護職員による確認などを元に判断します。


バイタルサインの測定のみを行う場合も加算の対象となりますか

答:利用者によります。

バイタルサインの測定が医師からの指示である場合は加算の対象となります。

それ以外の場合に、単にバイタルサインを測定するだけでは加算の対象となりません。

医師からの指示の場合は、指示書にバイタルサインの測定を行う目的や病態変化時のバイタルサインの変動等について記載してもらう等、バイタルサイン測定の必要性の根拠を明確にする必要があります。


医療的ケアを必要とする利用者へ医療的ケアを行う目的で看護職員が事業所を訪問したが、結果的に医療的ケアを行う必要がなかった。この場合は加算されますか?

答:加算されます。


Ⅰ~Ⅳでは1回の訪問で看護を行う利用者の人数は8人が限度とされているが、それ以上の人数に対し看護を提供したい場合はどのようにする必要がありますか?

答:複数の看護職員で対応する必要があります。


Ⅴ区分で看護職員が職員等に指導のみを行った場合に、事業所に看護等が必要な利用者が複数いる場合はどのように算定されますか?

1日ごとに対象利用者の人数で単位数を按分します。


看護職員が職員等に看護等の指導を行う場合、その看護職員が同じ時間に看護の提供も行った場合は加算されますか?

答:加算されません。


医療連携体制加算は、運営指導の際に必ずよく確認される加算でもあります。


そのため、もし加算を算定される場合には、必ず要件を満たし、必要な記録等を残すようにしましょう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。