■指定障害児事業者の人員配置について
こんにちは。行政書士の浅井です。
本日は、児童発達支援事業や放課後等デイサービス事業等の指定障害児事業者における人員配置についてお伝え致します。
〇人員基準の内容
都条例第5条従業員の配置の基準(基準省令第5条)・都条例第14条勤務体制の確保等(基準省令第38条)
・児童指導員等の配置については事前に勤務表を作成し適正な人員配置を行う。
① 人員基準(児童発達支援・放課後等デイサービス)
【重心外】・管理者 ・児童発達支援管理責任者・児童指導員又は保育士(1名以上が常勤)
放課後等デイ・児童発達支援(重心外)の場合
10:2の配置
(定員10名に対し児童指導員又は保育士2名)
【重心】 ・管理者 ・児童発達支援管理責任者 ・看護職員 ・児童指導員又は保育士・機能訓練担当職員 ・嘱託医
★児童指導員又は保育士
・児童指導員とは、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第43条の規定に該当する者をいう。
・保育士については、保育士証の提出が必要。(保母資格証は不可)
★児童発達支援管理責任者
・常勤専従(管理者との兼務可)
・児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能事業所のうち、指定通所基準第80条の規定する従業員数等に関する特例によらない多機能事業所(いわゆる規模別事業所)においては、児童発達支援、放課後等デイサービスのそれぞれの事業毎に児童発達支援管理責任者の配置が必要。
※実践研修および更新研修修了者は5年度毎に1回の更新研修の受講が必要
※令和3年度までの基礎研修修了者で実践研修または更新研修を受講していない場合は、児発管として従事できない。
② 指定基準見直しによる対応について
(1)児童発達支援管理責任者の要件の見直し
・障害児・児童・障害者の支援の経験が3年以上を必須化(告示の改正・平成29年4月)
・研修形態の見直し(平成30年度)
(2)児童発達支援、放課後等デイサービス人員配置基準の見直し(基準省令の改正・令和3年4月)
※機能訓練担当職員や看護職員(医ケア児のいる事業所のみ)についても基準人員の合計数に含めることができるが、基準人員配置基準の半数以上は児童指導員又は保育士である必要がある。
【例】定員10名の場合、営業時間中に2名の配置が必要。
児童指導員+ 保育士〇 保育士+保育士〇 児童指導員+ 児童指導員〇
児童指導員又は保育士+機能訓練担当職員〇 機能訓練担当職員+ 機能訓練担当職員 ×
児童指導員又は保育士+看護職員 〇【医ケア児に対し医療的ケアを実施する場合】
※基準を超えて配置する人員については、指導員の配置も可。
〇児童発達支援管理責任者欠如時の報酬算定について
(1)児童発達支援管理責任者欠如減算
児童発達支援管理責任者の欠如及び指定基準に定める人員基準(常勤かつ専従)を満たしていない場合、不在となった月の翌々月から欠如が解消された月までは減算の扱いとなる。
(2)児童指導員等加配加算及び専門的支援体制加算など
児童発達支援管理責任者は児童発達支援給付費及び放課後等デイサービス給付費の算定に必要となる従業者の員数となるため、欠如の場合には、児童指導員等加配加算、専門的支援体制加算、専門的支援実施加算及び看護職加配加算の算定はできない。
※個別支援計画の見直しの時期によっては、個別支援計画未作成減算がかかる場合もある。また、新規の契約(受け入れ)もできなくなるため、注意が必要。
〇営業時間とサービス提供時間
(1)営業時間
児童を受け入れる体制を整えている時間(10:2の職員配置を充たしている時間)でサービス提供が可能な時間帯(送迎のみを行う時間帯は含まれない。)
※基準人員の配置は営業時間中は配置が必要(※サービス提供時間中のみではない。)
(2)サービス提供時間
事業所において定めるべき標準的なサービス提供時間のこと。
特に営業時間中の送迎時の職員配置に注意
→ 事業所内、送迎体制ともに複数の職員配置をお願いします。
(事業所内には直接支援にあたる者1名以上を含む複数配置)
上記を踏まえ、適切な人員配置をして事業を運営する上での大切なポイントをお伝えします。
■勤務表を毎月予定と実績それぞれ作成しましょう。
◆勤務表の作成等(勤務予定・勤務実績)
・事業所ごとに、原則として月ごとに勤務表を作成。
・勤務表では、日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確に。
・原則として、客観的な記録(タイムカード等)により、従業者の労働日ごとの出退勤
時刻や入退室時刻の記録等を把握する等で、労働時間の状況を適正に把握。
・勤怠表が出勤簿やタイムカード、賃金台帳と整合していること確認。
・勤務予定と勤務実績について、それぞれが混同しないよう(又は別々)に作成。
〇運営指導でのよくある指摘事項
常勤職員が、実際は非常勤職員であった。
資格要件を満たせた職員が退社等していた。
勤務表以外の、業務日誌等では勤務していることが確認できなかった。
上記のように勤務予定でまずは人員配置が足りていることを確認し、そして実績が出た後、実績上でも人員配置が足りていることを確認することで、毎月の人員が足りていることが確認できます。また、運営指導が入る際にも、あらためて過去の人員配置の計算資料を作り直す手間が省けるため、ぜひ勤務形態一覧表の予定と実績を毎月作成することをお勧め致します。
まとめ
ここまで指定障害児事業における人員基準について確認してきました。
今回お伝えしてきた内容を最後にまとめますと以下の通りとなります。
〇人員基準
<管理者>
従業者及び業務の一元的な管理や、従業者に規定を遵守させるための指揮命令を行う。
・事業所に1人配置。
・専ら当該事業所の管理業務に従事する者であること。
・ただし、事業所の管理上障害児の支援に支障がない場合は、事業所の他の職務に従事させ、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事させることができる。
(指定居宅訪問型児童発達支援事業所・指定保育所等訪問支援事業所では、訪問支援員及び児童発達支援管理責任者を併せて兼ねる場合を除く。)
<児童発達支援管理責任者>
障害児に対する効果的かつ適切なサービスを行う観点から、適切な方法により通所給付決定保護者及び障害児の解決すべき課題を把握した上で、個別支援計画の作成や提供したサービスの客観的な評価等の重要な役割を担う。その他、障害児やその家族への相談援助、他のサービス提供従業者への技術指導と助言等を行う。
◆児童発達支援・放課後等デイサービス(いずれも主として重度心身障害児を通わせる事業所を除く)
・事業所に1人以上配置。うち1人は、当該事業所に専任かつ常勤であること。
・他の職務との兼務は不可(指定基準上必要とする児童指導員・保育士の員数には算定することができない)。ただし、事業所の管理業務に支障がない場合は、同一事業所での管理者との兼務は可。
<児童指導員又は保育士>
(児童発達支援・放課後等デイサービスのみ、いずれも主として重度心身障害児を通わせる事業所を除く。)
事業所単位で、以下の①から③までの要件をすべて満たす必要がある。
①指定児童発達支援・指定放課後等デイサービスの単位ごとに、その提供を行う時間を通じて児童指導員及び保育士の合計が以下のとおりになるように配置を行うこと。
イ 障害児の数が10まで : 2人以上
ロ 障害児の数が10を超える: 2に障害児の数が10を超えて5又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上
※「その提供を行う時間帯」とは、「営業時間」。いわゆる「サービス提供時間」ではないことに注意。(以下の<営業時間とサービス提供時間>を参照。)
②児童指導員又は保育士のうち、1人以上は常勤。
③機能訓練担当職員、看護職員を含める場合は、半数以上は、児童指導員又は保育士でなければならない。
⇒児童指導員及び保育士の員数が基準で配置すべき員数を下回る場合、人員欠如減算を算定しなければならない場合がある。
<営業時間とサービス提供時間>
◆営業時間
・ 運営規程に定める営業時間とは、事業所に職員を配置し、児童を受け入れる体制を整えている時間(受け入れ可能な児童の数に応じた人員配置基準を満たす時間)であって、送迎のみを行っている時間は含まれない。
・ 事業の運営についての重要事項に関する運営規程を定めなければならない。
営業日や営業時間も、この「事業の運営についての重要事項」として定められているので、必ず営業時間を運営規程に定める必要がある。
⇒ 営業日や営業時間を変更したら、運営規程を変更する必要がある。運営規程を変更したら、その旨の変更届をその変更から10日以内に指定所管に届け出なければならない。
◆サービス提供時間
・ 個々の障害児に対するアセスメントを通じて、障害児ごとの個別支援計画を作成しなければならないとされていることから、その個別支援計画に沿ったサービスを提供する上で必要となるサービス提供時間を確保する必要がある。
・ 標準的なサービス提供時間をあらかじめ運営規程に定めておく必要がある。
上記の通り、指定基準を満たして運営をしないと、減算や返戻になる場合もありますので、要件を満たした正しい運営を行うようにしましょう。
本記事を参考に、日々の運営の参考にして頂けましたら幸いです。
以上、参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。
指定障害児事業者の人員配置について
